ポタクのあれこれ。

僕の脳内の話。

螺旋階段を降り切ったとき、彼女は。

ジレンマ・・・あることに対して2つの選択肢が存在し、どちらを選んでも不都合があり、態度を決めかねる状態。

 

 

久しぶりに曲の考察を書こうと思う。

今回は櫻坂46の「僕のジレンマ」を取り上げる。


https://youtu.be/ZBk4V-uqcXs


この曲には全員が参加しており、センターを今シングル限りで卒業する渡邊理佐が務める。

MVは3月25日に公開され、現在の時点で149万回再生されている。

個人的には、映画のような壮大感と物語のエンディング感の両方がこの曲に含まれており、とても好き。

曲中では、旅立つ側と見送る側のそれぞれの心情を描いている。

では見ていこう。

 

 

頬を掠めて吹き抜ける温度のある風が
世界をもう一周廻り ここに戻って来るまで
僕の決心は揺るがずにいられるのだろうか

夢を追う代償は 残酷に過ぎてく時間だ

何を捨てて 何を得るつもりか 答えが見えない
僕が僕でいるために 僕じゃなくなる

 

オーディション合格。その時に吹いた風が、世界を一回りして、ここに戻ってくるまで。長い時間を経て、気持ちは変化していく。先に広がる夢への道。

仮面を被ったままで未来は見られない。仮面を脱ぎ捨てた時、僕は僕じゃなくなる。

 

ジレンマ
今すぐに行かなきゃいけない
わかっているのに 足が動かないんだ
ジレンマ
でも君を 一人だけ
残して行けない 心が引き裂かれるくらい

行きたい気持ちと、仲間を残して旅立つことへの葛藤。目の前に横たわる二つの選択肢は、どちらも難しさと悲しみを孕んでいる。

 

人生で大切なのは 選択することだ
すべてを手に入れようなんて 虫がよすぎるってこと
幼い頃から見てた夢 叶うと信じて
一番近くの誰かが かけがえない存在と気づく
「好きなんだ」
そんな僕の 身勝手なサヨナラでさえ 仕方ないねと
君にそっと微笑まれて 白旗揚げた

「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということわざがあるように、人生は取捨選択の連続である。

長く居続けた場所は暖かくて、そこに居るメンバーはかけがえのない存在になっていった。

彼女の別れの言葉に対するみんなの答えは、微笑みと優しさだった。

 

 

無理だよ
もう 僕は どこへも行かない
優柔不断と 言われても構わない
無理だよ
どちらかを一つだけ
選べと言うならば ここに残って後悔しよう

 

ここでは視点が残るメンバーの方に入れ替わる。

後悔するなら、彼女が去っていくこの場所に残って後悔しよう、と。

言い換えれば、彼女が去ったとしてもこの場所は存在しているのだ、と。

 

 

この世には何一つ 割り切れるものなんてない
生きるということは ジタバタともがくこと
誰も迷うことなく 真っ直ぐは歩けない
わかるだろう
いくつもの寄り道しながら (いくつもの足跡をつけて)
いつの日にか自分の道を見つける

 

残るメンバーからのエール。迷って迷って、時には寄り道をして自分の道を見つけて欲しい、貴方ならその道が分かるはずだと。

 

ジレンマ
ジレンマ
今すぐに行かなきゃいけない
わかっているのに 足が動かないんだ
ジレンマ
でも君を 一人だけ
残して行けない 心が引き裂かれるくらい
どっちへ進めばいいかわからない

 

どちらへ進むべきか?どこへ行くべきか?

それはきっと、彼女の心の中で決まっているはず。

 

 

鳥、仮面、メンバーが作る道、最後に一人で流す涙。

MVでは、この四つが印象的だった。

最初の羽ばたく鳥。鳥は欅坂46時代からたびたびMVに登場してきた。今回は一羽の鳥が飛び去っていく姿を捉えていた。これは渡邊理佐の旅立ちを表しているのだろう。

次に、仮面をつけて踊っているシーンも印象深い。仮面はアイドル=偶像の暗示であり、ラスサビでは仮面をつけずに踊っていることから、旅立ちへの決心が伺える。

(話の本筋から逸れるが、「無言の宇宙」のMVでは、渡邊理佐と守屋茜渡辺梨加にはそれぞれ駅にいるシーンがあった。それが卒業を示唆していたのではないか?という説がまことしやかに囁かれている。色々な考察があるかもしれないが、僕的には「最終の地下鉄に乗って」という曲の世界観を一部拝借した、というのが一番しっくりくる。この曲では、新たな世界への渇望を歌っている。駅→電車≒地下鉄→卒業への暗示と考えるなら、こじつけ感もあるが筋は通る。その頃にはすでに卒業の意思を固めていたのは間違いない。公に開かれたものをどう思うかは受け手の自由であるし、あの5分11秒の中に、こちら側がそこまで思考を広げられるものが詰まっていることが凄いことであるなぁ、と思う。もちろん、真実は誰かが言葉にしない限り謎のままだが。)

そしてメンバーが作った道。進む道が違えど、お互いに前へ進んでいることは変わりない。それぞれの未来が光り輝いていることを願うばかりである。

最後で一人で流す涙には、渡邊理佐らしさが詰まっていた。

なかなか涙を見せない彼女が崖の上で、一人涙を流しながら拳を強く握る。

これぞ渡邊理佐、というようなシーンだった。

卒業の時が刻一刻と迫っていることに寂しさを覚えるが、その先でどんな未来を描くのか、非常に楽しみだ。

 

p.s.遂に卒コン1日目を迎えた。明日のそこさくが楽しみな気持ちもあるが、それを見る頃にはもう彼女はアイドルとしての幕を下ろしていると考えると寂しい気持ちにもなる。あと、卒コンを見に行ける人が羨ましい・・・!!という気持ちをあとがきに記しておく。